2018年1月9日
編集委員長
藤田 直孝
会員の皆さま、明けましておめでとうございます。編集委員会から年頭の御挨拶を申し上げます。
本学会誌も完全電子化から2年が経ちました。お陰様をもちまして幸い大きな混乱もなく発刊できていますことをこの場をお借りして御礼申し上げます。皆様からのご指摘、ご意見も取り入れながら、会員のための有用な情報ツールとして本誌をさらに発展させていきたいと考えています。配信方法、配信スタイルも含めてご提案があれば検討させていただきますので何卒よろしくお願いいたします。昨年11月から「Image of the Month」と題したコーナーをスタートしました。これは、当該月に掲載された投稿論文中の内視鏡像から様々な観点で最も素晴らしい画像を編集委員会で選出し、雑誌のトップに掲載するという企画です。このコーナーへ採用されるべく是非挑戦してみていただきたいと思います。
本学会も参加しているJDDWでは、学会発表に関して「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」・「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が適用される研究は、これらの指針に基き、しかるべき倫理審査委員会の審査、機関の長の許可を必須とする、と倫理規定を定め、2017年は移行措置で対応してきました。本年はこの移行措置が終了し、2月の演題募集の際から完全順守を求めています。本学会学術集会へ応募される演題についても、これを踏襲しJDDW本格稼働の時期にあわせ、2018年2月以降の演題募集受付(総会(第96回総会から対象)及び支部例会)から本格稼働することを予定しております。これに合わせて、本誌の投稿規定についても昨年末に見直しを行い若干の改正を実施しましたので、投稿の際は熟読くださいますようお願い申し上げます。
昨年、数々の問題を抱えていた専門医機構が刷新され、新機構のもと地域医療やキャリア形成への配慮も包含したうえで、新専門医制度がカリキュラム制でスタートすることとなりました。消化器内視鏡学会専門医制度も理事長の陣頭指揮のもと役員、関係各位の努力により、日本内科学会のサブスペシャルティとして認められることとなりました。具体的には昨秋、日本内科学会から「日本消化器内視鏡学会の専門医制度を日本内科学会のサブスペシャルティとして認める旨」専門医機構に上申の段階まで進んできています。この他、日本外科学会、日本救急医学会、日本臨床検査医学会、日本医学放射線学会、日本小児科学会からも本会をサブスペシャルティとすることに関して申し入れや、承諾をいただいています。われわれが消化器内視鏡専門医を標榜することが患者さんにとって貴重な情報となり、患者さんが希望する低侵襲性の診断・治療を高いレベルで提供することで、国民の負託にこたえていきたいものです。自己研鑽の一つとして本誌への投稿、本誌内容の把握も是非よろしくお願いいたします。
昨今のAI(artificial intelligence)の進歩は目覚ましいものがあります。将棋や囲碁の領域でコンピュータが世界のトッププロ棋士をも打ち負かすところまで来たことから、deep learning その他の手法を用いたコンピュータ解析がいかに高い能力を発揮するものかが広く世の中に知れ渡りました。そして昨年は、医療の分野でもIBM社のWatsonが、診断の困難であった症例が白血病であること、有効な治療薬を提示しそのレジメンが著効を奏したことが報告されました。今後AIが医療の効率化、医師不足の解消、タスクシェアリング、タスクシフティングなどさまざまな改革をもたらすことが予想されます。AIを用いたデジタル医療画像の利活用についても新展開が始まり、内視鏡診断の自動化について日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業に本学会の「全国消化器内視鏡診療データベースと内視鏡画像融合による新たな統合型データベース構築に関する研究」が採用されたことは先生方もご承知かと思います。医療は(幸いなことに!?)AIにより消滅の可能性の高い職業ランキングの上位には入っていませんが、人間性こそが最重要の分野ですので、内視鏡を通じての社会貢献を目指す若い先生方が増え、学会がますます活気づくことを期待して年頭のご挨拶とさせていただきます。