2017年3月14日
日本消化器内視鏡学会名誉理事長 丹羽寬文先生におかれましては、平成29年2月25日(土)に87歳で永眠されました。謹んで哀悼の意を表します。
故 丹羽寬文先生は本学会設立間もない昭和36年3月に入会され、評議員、理事を経て、平成9年4月から平成21年5月まで理事長として12年にわたって在任いただき、名誉理事長に就任されました。名誉理事長に就任されるまでの48年余りの間には、財務委員会委員長、和文誌編集委員会の委員などを歴任され、その卓越した指導力により、本学会の円滑な運営をされるとともに学術的側面においてもその基盤構築のため率先垂範してこられました。先生は、理事長講演ならびに著書のなかで論語にある「温故知新」を肝に銘じるように常々説かれています。内視鏡の歴史をみるとその開発・発展はある日突然急にできたものではなく、過去の業績、失敗を踏まえて周辺科学技術の進歩とともに徐々に発展してきていることを強調され、後進の内視鏡医に対して未来の消化器内視鏡が進むべき道を正しい方向へと指し示して下さいました。また理事長として、日本の消化器内視鏡の診断・治療技術を国際的に普及するために主導的役割を果たされ、平成11年6月に開催された第1回中日内視鏡・消化器病学術交流会をはじめとするアジア諸国との連携ならびに欧米各地との学会同士の交流の場を設けられ、同時に発展途上国の多くの若手医師の教育活動に熱心に取り組まれ、現在、日本消化器内視鏡学会が幅広く推進している国際活動の基盤をつくられました。本学会が世界の消化器内視鏡学会のなかでもトップリーダーとして先導的役割を果たすうえで、多大なるご尽力をいただくとともに、本学会の発展に大きく寄与していただきました。
本学会での要職以外では、平成4年12月から平成12年3月までアジア太平洋消化器内視鏡学会理事長を8年間務められ、平成19年には神戸で開催されました第7回アジア太平洋消化器週間(APDW)会長として会を成功に導かれました。さらに世界消化器内視鏡学会理事長を平成14年3月から平成17年9月まで3年半にわたり務められ、日本の消化器内視鏡医が国際的に活躍できる土壌を築いて下さいました。
これらの功績が認められ、数多くの賞を受賞されています。その中でも、平成2年3月に、大腸癌検診に対する功績でローマ法王パウロ2世に謁見を賜り、ロザリオを拝受されたことは特筆すべきことです。平成24年4月に瑞宝小綬章を受章され、同年5月には米国消化器内視鏡学会においてCrystal Award を受賞されています。
今、日本消化器内視鏡学会が直面している難問に対して、先生のご指導を仰ぐべきこの時期に、永眠されましたことは痛恨の極みであり、また、生前に残された多くのご功績をかえりみるにつけ、誠にかけがえのない人を失った哀惜の念に堪えません。本学会の今日に至るまでの発展には、偏に先生の秀れたご見識と豊富なご経験をもとにしたご活躍と強い指導力に負うところが大きいのであります。
ここに改めて、日本消化器内視鏡学会全会員になりかわりまして衷心から感謝申し上げます。
丹羽先生、長い間、本当にお疲れ様でございました。ここに深く哀悼の意を表し、あわせて生前のご業績に心より敬意を表します。