2021年3月5日
第101回日本消化器内視鏡学会総会
『A型胃炎に合併した胃カルチノイドの治療指針に関する研究』 成果報告会
日時:2021年5月16日 12:50~13:20
会場:広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)武道場 第 2 柔道場(第11会場)
司会:鎌田智有(川崎医科大学)
演者:佐藤祐一(長岡中央綜合病院)
A型胃炎に合併した胃カルチノイドの治療指針に関する多施設共同研究成果報告
佐藤 祐一 長岡中央総合病院 消化器内科
鎌田 智有 川崎医科大学 健康管理学
藤崎 順子 がん研究会有明病院 上部消化管内科
石戸 謙次 北里大学医学部 消化器内科学
藏原 晃一 松山赤十字病院 胃腸センター
伊藤 公訓 広島大学病院 総合内科・総合診療科
八尾 隆史 順天堂大学 人体病理病態学
海崎 泰治 福井県立病院 病理診断科
乾 和郎 山下病院
千葉 勉 関西電力病院
飯石 浩康 市立伊丹病院
緒方 晴彦 慶応義塾大学病院 内視鏡センター
春間 賢 川崎医科大学 総合内科学2
【背景と目的】A型胃炎(自己免疫性胃炎)に合併した胃カルチノイドは、Rindi らの分類によるTypeⅠに分類され、単発で小さなものが多く、基本的に良性で予後がよいとされている。しかし、本邦での治療成績や長期予後などについての報告は少ない。我々は、日本消化器内視鏡学会学術研究として「A型胃炎に合併した胃カルチノイドの治療指針に関する研究」の成果を2014年に論文化したが、今回、その最終成績がまとまったので報告する。
【対象と方法】日本消化器内視鏡学会学術研究として2007年1月〜2019年3月までに登録されたA型胃炎に合併した胃カルチノイド190例の臨床的特徴および長期予後を検討した。なお、A型胃炎の定義は高ガストリン血症 (350 pg/ml以上)が認められ、内視鏡的逆萎縮像が認められる場合、あるいは抗壁細胞抗体または抗内因子抗体陽性であることとした。
【成績】解析対象は172例であり、その内訳は男性90例、年齢24-74歳、観察期間は0-25年 (平均9.3年)であった。腫瘍は粘膜・粘膜下層にほぼ限局し (94.4%)、腫瘍径は0.8mm〜55mm (平均7.2mm)であった。治療法は内視鏡的切除が80例 (43%)で最も多く、次いで経過観察51例、胃切除術18例 (前庭部切除術11, 全摘術7例)であった。リンパ節転移を2例に認めたが、遠隔転移は認めなかった。予後不明例を除き、無病生存率は 93.2% (123/132)、疾患特異的生存率は100%であった。
【結語】本邦におけるA型胃炎に合併した胃カルチノイドの悪性度は低く、その長期予後は良好であった。