今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関して、消化器内視鏡診療の実施については、国・厚労省の方針や各施設の状況等を考慮した対応が求められていますが、日本消化器内視鏡学会としては、現在のCOVID-19の状況に鑑みた内視鏡診療について以下の様に提言いたします。
コロナウイルスの感染経路は飛沫感染、接触感染が基本であり、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も主な感染経路は同様であるとされています。消化器内視鏡の施行にあたっては、特に経口・経鼻での施行では患者の咳嗽を誘発する場合もあり、エアロゾルによる医療従事者への感染も危惧されます。特に内視鏡検査室など密閉された空間で、高濃度の汚染されたエアロゾルに一定程度の時間曝露した場合には、エアロゾルによるウイルスの伝播が高頻度で起こりうると考えられます。また、糞便からのウイルス排出の可能性も指摘されており、下部消化管内視鏡検査における潜在的な感染リスクもあり得るとされております。
1.消化器内視鏡診療の適応について
国のCOVID-19対策本部より、対策の基本方針が発表され日々アップデートされています(https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html)。この内容に鑑みて、以下の条件に該当する方に対する緊急性のない消化器内視鏡検査・治療に関しては延期を考慮するなど、各施設で適宜判断し対応してください。なお、新型コロナウイルス感染症が確定されている患者に対して緊急の消化器内視鏡診療が必要な場合おいては、施設基準に則り施行してください。
2.消化器内視鏡診療における防護策について
最近は無症状のウイルス感染例の報告も相次いでいます。この観点からも、消化器内視鏡施行の際には、スタンダードプリコーションを徹底してください。フェースシールド付きマスク(またはゴーグル+マスク)、手袋、ガウン(長袖)着用を推奨します。各種防護具は患者毎に取り換え、検査・治療終了後には手指から肘までしっかりと洗浄するようにしてください。また、対面式のジャクソンスプレーなどを用いた咽頭局所麻酔の際にも咳嗽を誘発しエアロゾルを発生させる可能性はありますので、可及的にエアロゾルを発生させない配慮が必要となります。その上で、前処置施行に際しても上記の防護策をとってください。また、消化器内視鏡診療終了後の内視鏡運搬や洗浄に際しては、十分な防護策をとりこれまで同様の対処を行なってください。
3.内視鏡診療に携わる医療従事者について
各施設で医療従事者側の就業基準が設けられていると思いますが、消化器内視鏡担当医もしくは内視鏡診療に携わるメディカルスタッフに発熱や上気道症状、倦怠感、原因不明の下痢などの症状がある際には、感染防止の観点から極力検査治療には携わらないこともご考慮ください。
今回記しました内容については、政府からの情報更新に伴い改正される可能性があります。
令和2年3月
一般社団法人日本消化器内視鏡学会
理事長 井上 晴洋
医療安全委員会
担当理事 入澤 篤志
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※終了予定:12/4(水) 正午