鎌田 智有(川崎医科大学 健康管理学)
2022年5月15日(日)12:20~12:30
国立京都国際会館 1階 Room D(第3会場)
本研究会は「A型胃炎の診断基準の確立とその臨床病理学的意義」を明確とし、臨床医に受け入れやすい簡便な診断基準を作成することを目的として設置された。本診断基準の作成により、これまで過少診断されていた自己免疫性胃炎 (AIG)がより多く、より早期に診断され、胃腫瘍や悪性貧血などの高リスク群として層別化、自己免疫性疾患の早期診断・治療を可能とすることで、より適切な診療体系が期待される。2019年度~2021年度にわたる研究活動内容を報告する。
診断基準作成のための現状と課題などの演題発表や議論が概ね行われた。診断基準の骨子として、内視鏡所見、組織所見および胃自己抗体が挙げられた。抄録では紙面の都合上、進行期の診断基準のみを下記に示すが、初期像の特徴も明らかになりつつある。
診断基準 (進行期)
A)とB) の両者を満たすものをAIGと診断する。
1) 内視鏡所見: 主所見を必須とする。
(主所見) 胃体部~胃底部優位の高度萎縮を認める (胃体部で均一な血管透見像を呈する)。
(副所見) (胃体部~胃底部) 固着粘液、残存胃底腺粘膜、過形成性ポリープ; (前庭部) 必ずしも正色調ではなく、輪状模様、斑状発赤、稜線状発赤が参考となる場合もある。
2) 組織所見: A)とB)を必須とする。
3) 胃自己抗体 (抗壁細胞抗体または抗内因子抗体)陽性
抗壁細胞抗体は10倍以上を陽性とする。ただし、偽陽性を考慮し、今後変更される可能性もある。
発表当日は主要項目の特徴的所見について概説し、本疾患の診断基準と今後の課題などについて報告する。