藤城 光弘 (名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座 消化器内科学分野)
溝上 裕士(筑波大学)
道田 知樹(大阪国際がんセンター)
2021年5月16日(日)9:00~12:00(予定)
¥1,000
TKPガーデンシティPREMIUM広島駅北口(広島駅徒歩3分)
〒732-0057 広島県広島市東区二葉の里3丁目5番7 GRANODE広島
*現地とZOOMを使用したハイブリッド開催を予定しております。
※4月23日より参加登録を開始いたしました。
下記URLより参加登録をお願いいたします。
■登録URL:https://naishikyokensa.jp/index2.html
内視鏡検査・周術期管理の標準化に向けた研究会/日本製薬株式会社 / EAファーマ株式会社
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部
(担当者)中井 陽介、大木 大輔、波多野 稔子
TEL:03-5800-9014、FAX:03-5800-9015
E-mail:jgesperiendo@gmail.com
〒466-8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65
名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学
(担当者)中村 正直
TEL:052-744-2166, FAX:052-744-2175
藤城 光弘(名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座(消化器内科学分野))
司会: 溝上 裕士(新東京病院 健診部)
道田 知樹(大阪国際がんセンター 消化管内科)
演題分野:上部
〇佐竹 隼輔1), 引地 拓人2), 中村 純1,2), 髙住 美香1), 橋本 陽1,2), 加藤 恒孝1,2), 小橋 亮一郎1),鈴木 玲1),杉本 充1),佐藤 雄紀1), 大久保 義徳1,2), 高木 忠之1), 大平 弘正1)
1)福島県立医科大学医学部消化器内科学講座、2)福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
演題分野:下部
○小山 純子1)、今野 真紀2)、小西 潤2)、小林 望2)、高貝 恵美子3)、長谷川 真理子3)、
栃木県立がんセンター 1)内視鏡センター、 2)消化器内科、 3)内視鏡技師
演題分野:下部
〇間部 克裕1、3)、角 直樹2)、井上 和彦1)、藤田 英行3)、久本 信實3)、春間 賢1、4)
1)淳風会健康管理センター、 2)川崎医科大学健康管理学、 3)淳風会ロングライフホスピタル消化器内科、
4)川崎医科大学総合医療センター
演題分野:上部
〇霜田 佳彦1)、大野 正芳1)、久保 茉理奈1) 、西村 友佑1)、田中 一光1)、井上 雅貴1)、木脇 佐代子1)、
清水 勇一2)、山本 桂子2)、小野 尚子3)、坂本 直哉1)
1)北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学、2)北海道大学病院 光学医療診療部、3)北海道大学病院 消化器内科
演題分野:上部
○長妻 剛司、山口 太輔、井上 須磨、才田 正義、石井 麻梨奈、中尾 凛、重橋 周、吉岡 航、田中雄一郎、日野 直之、
有尾 啓介、綱田 誠司
嬉野医療センター 消化器内科
演題分野:下部
○大部 智栄子1)、佐藤 将嗣2)、廣澤 緑1)、指山 浩志3)、浜畑 幸弘3)
医療法人社団 康喜会 辻仲病院柏の葉 1)看護部、 2)診療技術部 薬剤科、 3)大腸肛門外科
演題分野:上部、下部
◯二口 俊樹、小泉 彰郎、堀内 英華、土橋 昭、炭山 和毅
東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座
演題分野:上部
〇本間 瞳1)、小野 富貴子1)、佐藤 光恵1)、那須 来夢1)、古川 晴美1)、宮崎 由香子1)、山田 恵美1)、
中居 由合加1)、西野 あさ子1)、松原 美恵子1)、佐々木 麻衣1)、東藤 博子1)、住吉 徹哉2)
国家公務員共済組合連合会 斗南病院 1)外来内視鏡室、 2)消化器内科
演題分野:治療
〇井坂 裕子1)、皆川 美由紀2)、奈良坂 俊明3)
筑波大学附属病院 1)看護部、2)光学医療診療部
演題分野:胆膵
〇小林 円1)、安田 明日香1)、小川 久美子1)、倉橋 順子1)、道田 知樹2)、福田 弘武2)、福武 伸康3)
大阪国際がんセンター 1)看護師、 2)消化器内科、 3)肝胆膵内科
<休憩5分>
「小腸内視鏡検査・治療の周術期管理」
司会:道田 知樹(大阪国際がんセンター 消化管内科)
講演:矢野 智則(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門)
藤城 光弘(名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座(消化器内科学分野))
*この研究会には資格申請・更新の際の業績として、参加点数2点(関連学会分として)が付与されます。
〇佐竹 隼輔1)、 引地 拓人2) 中村 純1,2)、髙住 美香1)、 橋本 陽1,2)、 加藤 恒孝1,2)、 小橋 亮一郎1)、鈴木 玲1)、杉本 充1)、
佐藤 雄紀1)、大久保 義徳1,2)、 高木 忠之1)、大平 弘正1)
1)福島県立医科大学医学部消化器内科学講座、2)福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
【緒言】
上部消化管内視鏡検査(EGD)後の患者説明は,鎮静の有無で区別をしていなかった.しかし,鎮静でのEGDの後,昼食後に誤嚥から窒息を来した症例を経験したため,説明用紙を改訂した.
【症例】
進行食道癌に対する食道亜全摘術ならびに胃管再建後の62歳男性が,ミダゾラム静脈投与による鎮静下に,術後2年目のEGDを施行された.吻合部狭窄などの異常所見はなかったが,胃管内に食物残渣の貯留を認めた.EGD終了後, 拮抗薬であるフルマゼニルを持続で静脈投与をされながら,看護師監視下にリカバリーベッドで休息した.EGD終了1時間後,看護師が日本消化器内視鏡技師研究会の帰宅基準で判定し,基準を充たしたことを確認し,帰宅を許可した.その際に,看護師は,少量の水分を摂取して誤嚥がなければ食事は可能であると説明した.しかし,食事の内容までは規定しなかった.その後,患者は付き添いの家族と共に,院内食堂で昼食(ラーメン)を摂取した.しかし,昼食を全量摂取後に嘔気を訴え,1人でトイレに向かった.その後,吐物多量で心肺停止で倒れているところを発見された.ただしに心肺蘇生を施行されたが,意識は改善しなかった.
【改訂点】
手術や鎮静薬の影響で腸管蠕動が低下していたと考えられた.そこで,消化管術後や鎮静でEGDを施行した患者用に,新たに説明用紙を作成した.食事は消化のよいものを普段の8割程度の量で摂取することとし,さらに鎮静患者では検査当日は可能な限り家族が目を離さないことを加えた.
【結語】鎮静下にEGDを施行された消化管術後の患者は,当日の食事ならびに転倒予防に対する配慮が必要である.
○小山 純子1)、今野 真紀2)、小西 潤2)、小林 望2)、高貝 恵美子3)、長谷川 真理子3)、
栃木県立がんセンター 1)内視鏡センター、2)消化器内科、3)内視鏡技師
【目的】
当センターでは、ESDを除く大腸ポリープ切除のほとんどを外来で行っており、治療後の安静期間については、コールドポリペミー(以下CSPとする)は3日間、通電を伴うポリペクトミー・EMR(以下HSPとする)は7日間としている。今回、後出血を起こした患者の特徴を検討し、この安静期間が妥当であるか検証する。
【方法】
対象は2014年6月から2019年12月までのCSP・HSPを施行した患者5166名。CSP患者とHSP患者の後出血の有無と発症時期、抗血栓薬服用の有無についてカルテより後ろ向きに調査した。なお、両方の処置を同時に施行された患者はHSPに含めた。
【結果】
5166名中、CSP患者は3860名(74.7%)、HSP患者は1306名(25.3%)であった。CSP患者の9名(0.2%)に後出血を認め、抗血栓薬服用の有無別では、服用無しの0.09%(3/3212)、服用ありの0.9%(6/648)に相当した。更に抗血栓薬が単剤の患者と多剤の患者で比較すると、単剤では0.5%(3/569)であったのに対し、多剤では3.8%(3/79)であった。一方、HSP患者では11名(0.7%)に後出血を認めた。出血の時期については、CSP患者では当日が8名、3日目が1名であり、HSP患者では当日4名、2日目3名、7日目3名、13日目1名であった。
【考察】
CSP患者における後出血の頻度は低いものの、抗血栓薬服用患者ではHSP患者と同程度の出血リスクがあり、特に多剤服用症例では注意が必要と考えられた。出血の時期に関してはほとんどが当日であり、短い安静期間は妥当であると考えた。HSP患者に関しては、出血の時期に幅があり、11名中3名が7日後に出血していることから、CSP患者より長い安静期間が必要であることが示唆された。
【まとめ】
当センターにおける外来大腸ポリープ内視鏡的切除術後の安静期間は、CSP患者、HSP患者ともに、概ね妥当と考えられた。ただし、出血リスクの低いCSP患者であっても、抗血栓薬服用者における後出血の頻度は低いとは言えず、注意が必要である。
〇間部 克裕1、3)、角 直樹2)、井上 和彦1)、藤田 英行3)、久本 信實3)、春間 賢1、4)
1)淳風会健康管理センター、 2)川崎医科大学健康管理学、 3)淳風会ロングライフホスピタル消化器内科、
4)川崎医科大学総合医療センター
【はじめに】
本邦では便潜血検査による大腸癌検診が行われており、陽性者に対して大腸内視鏡検査が行われている。しかし、精検受診率は対策型検診で70%、職域では40%代と十分ではない。本邦でも大腸内視鏡による大腸癌検診も検討されている。病院併設型の検診施設では既に人間ドックとして大腸内視鏡検査を導入している施設も多いが、検診専門施設では殆ど導入されていない。また、NPS,JPS研究で大腸腺腫を全て切除するクリーンコロンが大腸癌罹患、死亡率の低下が示され、外来で処置可能なコールドポリペクトミーが注目されている。今回、検診専門施設である淳風会健康管理センター倉敷で、大腸内視鏡検査、コールドポリペクトミーを導入したため報告する。
【方法】
大腸内視鏡の対象者は検診で便潜血陽性者と上部内視鏡検診受診者で問診にて大腸ポリープの既往者、大腸癌の家族歴があるものとした。大腸検査の同意書にコールドポリペクトミー希望の有無を確認する欄を設けた。大腸検査後には文書を用いて検査後または治療後の注意点、対処方法について説明した。2020年6月から12月18日までに実施した大腸内視鏡検査について検討した。
【結果】
スコープはオリンパス社製のPCF-H290Zを使用し、担当医は2名で行った。
検査は週3−4回、午後1時から3時に3名の定員で開始した。対象期間に204例が受診し、平均年齢は51.7歳(29−77歳)、初回検査が141例(69%)であった。抗血栓薬服用者は7例(3.4%)と病院と比較し少なく、アスピリン5例、チエノピリジン1例、その他の抗血小板作用のある薬剤が1例で、全例当日は休薬して受診した。鎮痙剤の使用は192例(94%)で鎮静剤は施設の関係で全例に使用していない。疼痛で検査中止例はなく問題なく検査可能であった。盲腸到達率は100%で平均到達時間は4.9分(2-22分)だった。大腸癌は5例(2.5%)に発見され、いずれも早期癌であった。コールドポリペクトミーは79例(38.7%)に行われた。出血例は入院や内視鏡、止血処置を要しないものが1例であった。
【結論】
検診専門施設においても大腸内視鏡検査及びコールドポリペクトミーは安全に施行可能であった。十分な説明と、帰宅後の医療連携体制の確立が有効であった。
〇霜田 佳彦1)、大野 正芳1)、久保 茉理奈1) 、西村 友佑1) 、田中 一光1)、井上 雅貴1)、木脇 佐代子1)、
清水 勇一2)、山本 桂子2)、小野 尚子3)、坂本 直哉1)
1)北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学、2)北海道大学病院 光学医療診療部、3)北海道大学病院 消化器内科
近年、内視鏡診療における鎮静剤使用は患者意識の変化により増加傾向にあると言われている。また通常の内視鏡検査においてもNBIやBLI、LCIといった画像強調イメージングを用い、拡大観察も行うことが一般化されつつあるため、患者負担の側面からも鎮静剤使用の需要は増加していると言える。一方で、鎮静は嘔気や嘔吐、呼吸異常、血圧低下、アナフィラキシーショックなどの副作用が発生する可能性のある医療行為でもあり、安全に運用するためには徹底した管理が重要であると考えられる。
当院では鎮静内視鏡を施行する際に、主にミダゾラムやジアゼパムを使用している。その使用方法については慎重な扱いを行っているものの、医師個々人における裁量で用いているのが現状である。また検査や治療時間が長引くほど、鎮静剤の適正使用量の上限を超えるといった症例も存在し、検査中の血圧変動や血中酸素飽和度の低下など様々なvital signの変化も散見されるため、改善の余地があると考えられる。さらに、当院には鎮静剤使用後のリカバリールームは6つしかなく、薬剤投与量が過量となり帰宅に時間がかかる症例が増えた場合は、内視鏡室全体の運営に大きな支障がでることになる。
今回当院における上部消化管内視鏡検査の現状について、身長や体重,既往やアレルギー歴,検査の経過などを記した看護記録・計画書を参考にし、鎮静剤投薬量やそれに伴う術中、術後の合併症、また患者の術後覚醒の状況などについて検討し、鎮静剤の適正な使用がなされているか、検査数や検査の運用は適切かなど、様々な問題点を明らかにしたい。
〇長妻 剛司、山口 太輔、井上 須磨、才田 正義、石井 麻梨奈、中尾 凛、重橋 周、吉岡 航、田中雄一郎、日野 直之、
有尾 啓介、綱田 誠司
嬉野医療センター 消化器内科
【目的】
上部消化管出血に対する緊急内視鏡的止血術時にバイタルサインが安定していれば鎮静は有用とされているが、患者の全身状態や病状によっては鎮静が有用でない場合もある。今回上部消化管出血患者に対する緊急上部消化管内視鏡検査時の鎮静剤の有無を比較し、緊急内視鏡における鎮静法の安全性、有用性を検討した。
【方法】
2016年1月から2020年12月まで当院にて上部消化管出血に対して緊急上部消化管内視鏡検査を施行した患者304例を対象に、緊急内視鏡時に鎮静剤を使用した群(Group A:141例)と鎮静剤を使用しなかった群(Group B:163例)を後方視的に集積し、2群間において原因疾患、治療成績、偶発症について比較検討した。
【結果】
平均年齢はGroup A: 70.4 ± 13.6歳 vs Group B: 75.0 ± 12.0歳とGroup Aの方が有意に若かった(P<0.01)。主な出血の原因疾患はGroup A、Bともに胃十二指腸潰瘍(69.7%、62.5%)、食道胃静脈瘤(8.5%、18.7%)、GERD(9.1%、5.8%)であった。主な鎮静剤、平均使用量はミダゾラム(66.7%:4.6 ± 1.9mg)、ジアゼパム(31.2%:6.5 ± 3.1mg)であった。主な治療方法はGroup A、Bともにソフト凝固(54.3%、60.2%)、トロンビン散布 (15.0%、10.2%)、クリッピング(6.3%、10.2%)であった。内視鏡的止血術の成功率はGroup A: 95.0% vs Group B: 94.5%(P=1.00)と同等であり、再出血率もそれぞれ90.8% vs 92.6% (P=0.68)と同等であった。止血術後3日以内、90日以内の死亡率は、Group Aで1.4%、13.5%、Group Bで3.1%、10.4%と両群間に差はみられなかった(P=0.46、P=0.48)。
【結語】
上部消化管出血に対する緊急上部消化管内視鏡検査時に鎮静剤を使用することは、安全な内視鏡処置を行うためには許容されると考えられた。
○大部 智栄子1)、佐藤 将嗣2)、廣澤 緑1)、指山 浩志3)、浜畑 幸弘3)
医療法人社団 康喜会 辻仲病院柏の葉 1)看護部 2)診療技術部 薬剤科 3)大腸肛門外科
【はじめに】
当院では鎮静下消化器内視鏡検査を受けた外来患者が安全に帰宅するための基準として『離床判断基準』を作成し運用している。しかし、離床判断基準を満たし離床した場合でも気分不快により再安静を要する患者が少数ではあるが存在している。そこで離床後に気分不快を生じる患者の背景因子を検証した。再安静を要した外来患者の背景因子について報告する。
【研究目的】
鎮静下消化器内視鏡検査後、離床判断基準を満たして離床した外来患者のうち気分不快により再安静を要した患者の背景因子を導き出す。
【研究方法】
〈期間〉2017年4月4日~2018年10月31日
〈対象〉上記期間に当院において消化器内視鏡検査(ポリペクトミーを含む)を受けた患者
28,369人のうち、有効データを得られた患者22,911人。
(上部消化管内視鏡検査:EGD61.5%、下部消化管内視鏡検査:TCS65.7%)
〈方法〉対象症例において、年齢、性別、BMI、検査内容、TCS時の送気の種類と気分不快による再安静の発生について診療録より後ろ向きに調査を行った。
〈解析方法〉統計学的解析はロジスティック回帰を単変量解析に用い、p<0.10の因子について
強制投入法により多項ロジスティック解析を用いた。p<0.05を有意な差とした。
(R version 3.5.0)
【結果】
対象患者22,911名のうち、気分不快による再安静を要した患者は44名0.19%であった。再安静を要した検査の内訳はEGD36.4%、TCS97.7%でありTCSを実施した場合は実施なしと比べ、有意に再安静を要する率が高いことがわかった(p=0.003)。対象期間中にTCSを実施した15,063名(男性51.4%、女性48.6%)のうち、再安静を要した患者は43名0.29%であった。女性が83.7%を占め、女性は男性に比べ有意に再安静を要したことがわかった(p<0.001)。さらにTCS実施患者全体と比べると平均BMI値は低く、標準偏差も小さくなっており、再安静を要した女性では痩せ型に集中している傾向にあった。また、TCS時の送気種類にairを用いた場合はCO2に比べ有意に偶発症発生率が高いことがわかった(p<0.001)。
◯二口 俊樹、小泉 彰郎、堀内 英華、土橋 昭、炭山 和毅
東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座
【目的】
当院では全例に鎮静内視鏡検査を行っているが、検査後鎮静関連偶発症としての転倒が課題であった。そこで、帰宅基準に麻酔回復スコアの導入や鎮静剤の変更、内視鏡室移転に伴うリカバリーベッド数の増床や患者モニタリングの充実を行ってきた。本研究の目的は、帰宅基準の見直しが行われた各期間と検査後の転倒率の関係を明らかにし現在の帰宅基準の妥当性を検討することである。
【方法】
2013年9月~2020年12月の間、鎮静内視鏡検査後に転倒した事例をインシデント管理システム(Safe Master、セーフマスター社)から抽出した。また、鎮静内視鏡に関しての変更点は以下の通りである。①麻酔回復スコアの導入(2018年9月)、②鎮静剤の変更(2018年11月)、③リカバリーベッドの増床とモニタリングの充実(2020年1月)。2020年1月、リカバリーベッドを14から18に増床、10分毎の血圧測定を行いSpO2と心電図と合わせて集中管理している。また、検査後1時間を目安に麻酔回復スコアの評価を行っている。
【結果】
【結論】
モニタリングを併用した麻酔回復スコアによる評価と十分なリカバリー時間の確保が転倒防止に寄与している可能性が考えられた。
〇本間 瞳1)、小野 富貴子1)、佐藤 光恵1)、那須 来夢1)、古川 晴美1)、宮崎 由香子1)、山田 恵美1)、
中居 由合加1)、西野 あさ子1)、松原 美恵子1)、佐々木 麻衣1)、東藤 博子1)、住吉 徹哉2)
国家公務員共済組合連合会 斗南病院 1)外来内視鏡室、2)消化器内科
【背景・目的】
当院での2019年の総上部内視鏡検査数は9012件である.経鼻内視鏡検査以外はほぼ全例でペンタゾシンとジアゼパムを用いた鎮静下経口内視鏡検査を行っている。検査後は安静室で30分間の安静後に退出基準を満たしたことを確認し帰宅しているが、従来の基準は曖昧な点が多く、看護師の経験に基づいて判断されることが多かったため、2019年12月より日本消化器内視鏡技師会看護委員会の『麻酔回復スコア』を参照に新たに退室基準の見直しを行った。今回、当院独自の退出基準の妥当性について検討を行ったので報告する。
【対象】
2020年11月1日~同年11月30日の間に外来で鎮静下上部内視鏡検査を行った327症例
【方法】
安静時間は30分間を基準としているが、安静延長症例(延長群)と基準通りの退出症例(非延長群)につき、年齢、性別、当院検査歴、ジアゼパムおよびペンタゾシン使用量につき比較検討を行った。また延長群の理由、安静解除後の事故の有無についても検証した。
【結果】
延長群は全体で38例(13%)、平均安静延長時間は67分だった。安静延長の理由は眠気(78.9%)、ふらつき・めまい(15.7%)を多く認めたが、安静解除後に循環・呼吸状態の悪化や転倒などの症例は認めなかった。また延長群と非延長群の比較では、単変量解析で年齢、女性、ジアゼパム増量が有意な因子であったが、多変量解析においては80歳以上の高齢者と女性が独立した危険因子であった。
【考察】
全体の87%の症例で退出基準に準じた対応が可能であり、また転倒などの事故は認めなかった。しかし高齢者や女性が安全な鎮静下内視鏡検査を受けるためには、安静時間を延長するなどの再検討していく必要があると考えられた。
〇井坂 裕子1)、皆川 美由紀2)、奈良坂 俊明3)
筑波大学附属病院1)看護部、2)光学医療診療部
【目的】
2019年度、内視鏡センターでの消化器内視鏡総件数5857件のうち、治療内視鏡および患者にとって侵襲的な検査はおよそ1552件(26%)であった。それらは鎮静管理下による実施であり、治療が安全かつスムーズに遂行されるために鎮静管理は重要である。当院では2016年より導入された院内統一の「鎮静マニュアル」を導入しており、マニュアルに準じた治療内視鏡および侵襲的な検査における鎮静管理への取り組みについて報告する。
【取り組みの内容】
院内基準に基づく鎮静管理指導医制度が導入されており、医師に対しては「鎮静管理指導医」「鎮静技術認定医」、コメディカルスタッフに対しては「鎮静観察者認定」が設けられ、当センターに所属する看護師全員が「鎮静観察者認定」資格を有している。治療内視鏡における鎮静前準備や治療中の鎮静状態の観察、治療終了後の覚醒状態の確認と帰室時の報告を詳細に取り決め、チェックリストを用いて確認を行っている。この制度により、鎮静に対しての知識・技術は継続的教育が行われており、2016年度以降、治療内視鏡および侵襲的な検査における鎮静に関連した患者急変はなかった。
【考察】
院内統一の鎮静制度が導入されていることで、鎮静はハイリスクな医療行為であることを医師と共有できている。それが、医師と協力して安全な鎮静管理できていることにつながっていると考える。治療内視鏡の内容は拡充、高度化しており、患者にとって侵襲的な検査は苦痛を軽減させるためにも鎮静は必要である。今後も鎮静薬を用いた治療内視鏡および侵襲的な検査が安全に遂行されるよう、鎮静管理に取り組んでいきたい。
〇小林 円1)、安田 明日香1)、小川 久美子1)、倉橋 順子1)、道田 知樹2)、福田 弘武2)、福武 伸康3)
1)大阪国際がんセンター看護師、2)消化器内科、3)肝胆膵内科
【目的】
当院での外来超音波内視鏡(以下EUS)は鎮静下で行い、その後回復室(以下RR)を経て帰宅条件評価基準に従い帰宅可否を判断している。当院の帰宅条件は日本消化器内視鏡学会の鎮静に関するガイドラインを参照に①検査後30分が経過している②Vitalが安定している③自立歩行が可能であること等としている。しかし、血圧低下、覚醒不良、嘔気などの有害事象により評価基準を満たさず、長時間安静や入院が必要となる症例が見られていた。よって今回EUSで鎮静剤と併用使用する鎮痛剤の違いによる影響を比較検討した。
【方法】外来EUSで2019年8月から11月までのミダゾラムとペンタゾシンを併用した150件と2020年8月から11月までのミダゾラムとペチジン塩酸塩(以下ペチジン)を併用した125件を対象として比較した。
【結果】
鎮痛薬の平均使用量はペンタゾシン群で14.7mg、ペチジン群で34.3mg、鎮静薬として併用されたミダゾラムの平均使用量はペンタゾシン群で4.7mg、ペチジン群で4.2mgであった。検査時間はペンタゾシン群で35分、ペチジン群で43分であり、平均RR滞在時間はペンタゾシン群1時間27分に対してペチジン群1時間14分であり、ペチジン群のRR滞在時間が短いという結果となった(p=0.0041)。また、RR滞在時間が2時間以上となった症例はペンタゾシン群9.3%(14件)、ペチジン群で3.2%(4件)であり、ペンタゾシン群の有害事象が多い傾向がみられ(p= 0.0501)、有害事象の内訳としてはペンタゾシン群では嘔気、嘔吐が多く(12件)、ペチジン群では血圧低下(3件)が多かった。
【結論】
ミダゾラムとの併用ではペンタゾシンよりペチジンの方が、検査後の嘔気などの有害事象が少ない傾向にあり、RR滞在時間は短くなったため、EUS時のSedation方法として有用と考える。
小腸内視鏡検査・治療の周術期管理
矢野 智則(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門)
小腸は胃と大腸の間を成す長い管腔臓器で、その解剖学的特徴から内視鏡検査・治療が困難であった。しかし、バルーン内視鏡とカプセル内視鏡の登場により、全小腸の内視鏡観察が可能となり、診断のみならず治療も可能となった。
バルーン内視鏡は、経口挿入と経肛門挿入が可能で、上部・下部消化管内視鏡に準じた前処置を要するが、疾患に応じた工夫も必要である。上部・下部消化管内視鏡に比べれば長時間で高侵襲な検査のため、小児では全身麻酔、成人でも鎮痛・鎮静下での施行が望ましく、背景疾患リスクを含む慎重な適応判断と周術期管理を要する。経口バルーン内視鏡に特徴的な偶発症として急性膵炎があり、長時間の検査を避けることが望ましい。また、挿入時の胃内容吸引や、消化管内圧を低く保つことが誤嚥性肺炎のリスク低減につながると考えられる。生検、点墨、止血術、狭窄拡張術、ポリープ治療、異物回収など、様々な処置が可能で、各処置の偶発症を考慮した周術期管理が望ましい。
カプセル内視鏡は低侵襲に全小腸を観察できる有用な検査である。しかし、偶発症として、消化管狭窄を通過できずに長期間排出されない「滞留」があり、クローン病や腹部手術歴、放射線治療歴を有する患者や、腹部症状を有する患者では、消化管開通性の評価を行った上で適応判断する。嚥下機能に問題がある患者では、誤嚥して窒息するリスクがあるため、上部消化管内視鏡を用いた誘導が必要である。無事に嚥下できても、胃内に長時間停滞して検査時間内に全小腸観察ができないこともあるため、小腸へ入ったことを確認することが重要である。また、撮影した画像はレコーダーに電波で転送するため、電磁波を発する機器や、電磁波の影響を受けやすい機器との併用には注意が必要で、医療用テレメトリーの電波が飛び交う病棟などで行う際には電磁波防護服の併用が望ましい。
小腸内視鏡を安全に行うためには、これらに注意が必要である。
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※終了予定:12/2(月) 正午