藤城 光弘(名古屋大学 消化器内科)
道田 知樹(埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科)
2019年6月2日(日)13:00~13:10
第10会場(グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール 1階 『瑞光』)
本研究会は、日本消化器内視鏡学会の附置研究会として、平成28年度~30年度にわたり活動を行い、春の総会時に合わせて計3回の学術集会を開催した。ここに3年間の活動内容を総括し報告する。
内視鏡検査・周術期管理は、内視鏡前の説明と同意から終了後の患者説明までの一連の流れであり、内視鏡診療・研究・教育の基盤をなすものであるが、その方法について標準化されたものは存在せず、各施設が独自に構築してきたという歴史がある。
本研究会の目的は、今まで各施設で積み重ねられた内視鏡検査・周術期管理に関する経験を発表、議論するとともに、臨床研究に基づくエビデンスを整理し、これらの議論、エビデンスの整理に基づいて、日本消化器内視鏡学会で推奨する、内視鏡検査・周術期管理マニュアルを作成することであった。
第1回、第2回の学術集会は、上部消化管、下部消化管、胆膵、消化管治療の4部構成とし、部門統括世話人である、溝上裕士先生(筑波大学)、道田知樹先生(帝京大学)、田辺聡先生(北里大学)、松田浩二先生(聖マリアンナ医科大学)に、それぞれの部門の司会をお願いした。第1回は、“上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、胆膵内視鏡、消化管治療内視鏡における、検査・周術期管理の現状把握と問題点の洗い出し”を、第2回は、“内視鏡検査・周術期管理のエビデンスとコンセンサス”をテーマに掲げ、活発な議論を行った。第3回は、“新・内視鏡検査・周術期管理マニュアルの作成に向けた問題点と進捗状況”をテーマとし、会の構成を変え、第1部を“内視鏡検査におけるタイムアウト(チェックリスト含む)の意義”、第2部を“鎮静を使用した内視鏡検査における退出基準”、とし、それぞれ阿部展次先生(杏林大学)、今川敦先生(今川内科医院)に司会をお願いした。そして、第3部を“新・内視鏡検査・周術期管理マニュアルの各領域における現状”として、各部門統括世話人の司会の下、最終成果物としてのマニュアル作成を意識した議論を行った。これらの議論の成果物とし、現在、各世話人に執筆を依頼し、大項目として、1.機器取り扱い、2.インフォームドコンセントと問診票、3.タイムアウトとチェックリスト、4.物品確認と服薬確認、5.前処置と鎮静、6.検査中検査の実際とモニタリング、7.偶発症、8.内視鏡検査の記録、を掲げた、消化器内視鏡検査・周術期管理の標準化ハンドブックの作成作業に入っている。
このように、3年間の附置研究会としての活動を通して、一定の成果を得ることができたと考えているが、本研究会の担うべきテーマが多岐にわたることから、3年間では、十分議論を尽くすことが難しく、今後は、日本消化器内視鏡学会の関連研究会として活動を継続していくことが決定されている。
名古屋大学 消化器内科 藤城光弘
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