会期:
2018年5月12日(土)13:00 〜 16:00
会場:
第6会場(グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール2階 『青葉』)
代表世話人:
藤城 光弘(東京大学医学部附属病院光学医療診療部)
当番世話人:
溝上裕士(筑波大学附属病院光学医療診療部)
道田知樹(帝京大学ちば総合医療センター内科(消化器))
田邊 聡(北里大学医学部新世紀医療開発センター)
松田浩二(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器内科)
開会の辞(代表世話人挨拶)
藤城 光弘(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)
第1部 内視鏡検査におけるタイムアウト(チェックリスト含む)の意義(公募、30分)
(13:30~14:00)
阿部 展次(杏林大学)
第2部 鎮静を使用した内視鏡検査における退出基準(公募、30分)
(14:00~14:30)
司会:今川 敦(今川内科医院)
-休憩(10分)-
アフタヌーンセミナー(20分)日本製薬共催(14:40~15:00)
第3部 新・内視鏡検査・周術期管理マニュアルの各領域における現状(指定、60分)
司会:溝上 裕士、道田 知樹、田邊 聡、松田 浩二
閉会の辞(代表世話人統括)
藤城 光弘(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)
1.当院における内視鏡検査前チェックリスト導入の有用性評価
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部1)、東京大学 消化器内科2)、東京大学医学部附属病院 看護部3)
○成田 明子1)2)、吉田 俊太郎1)2)、齋藤 格1)2)、星野 恵理3)、小林 智明3)、藤城 光弘1)
【背景と目的】内視鏡検査および治療の高度化に伴い、内視鏡医が担うべき領域は拡大している。検査および治療を完遂させるために、術者のみならず助手、介助者、場合によっては麻酔医など複数のスタッフが関与する場面が多く見受けられるようになってきた。通常の検査においても、内視鏡検査伴う苦痛の軽減のために、意識下鎮静を用いた内視鏡検査の需要が高まっている現状もあり、検査及び治療の実施において、内視鏡検査医を軸としたチームビルディングの構築が急務である。外科領域では以前より周術期にチェックリストを用いてスタッフによるタイムアウトを実施することで、手術の合併症が軽減され生存率が上昇することが報告されているが、内視鏡領域におけるその普及および効果に関する報告は少ない。
【方法】当院で新たに導入したチェックリストの有用性につき検討する。方法は、内視鏡検査前に新たに導入したチェックリスト(患者氏名、生年月日、検査内容、抗血栓薬内服の有無、アレルギーの有無、感染症の有無)の確認を行い、実際の検査を実施する。評価項目としては、チェックリストによる確認状況を評価するとともに、導入前後でのアクシデントおよびインシデントなどの発生数を比較し、内視鏡検査に関する項目についても評価する。結果につき、改善すべき点なども含めて考察する。
2.全内視鏡検査におけるタイムアウト制導入の現況
慶應義塾大学病院 看護部1)、腫瘍センター2)、内視鏡センター3)
○梶山 安希子1)、豆塚 好美1)、徳田 久子1)、渡邊 久覚1)、林 明美1)、加藤 元彦2)、前畑 忠輝2)、細江 直樹3)、緒方 晴彦3)
タイムアウトとは術者が皮膚切開を行う前に、「部位間違い」や「患者間違い」を防ぐことを目的に外科医・麻酔科医・看護師が一斉に手を止めて、患者氏名、手術名、手術部位、体位などを確認することであると定義されている(日本麻酔科学会ガイドライン2009)。当院では2017年4月より(カプセル内視鏡検査は2017年8月より)検査事故防止、安全の向上を目的としてタイムアウト制を導入した。対象は内視鏡センター内で検査、処置、治療を受ける全ての患者とし、外来、入院、緊急、予定検査、麻酔の種類に関わらず行っている。タイムアウト実施者は、医師、看護師、X線透視を使用する場合には放射線技師であり、患者確認については患者自身に名乗ってもらう方法をとっている。タイミングは①入室後の検査開始前、②実際に処置・治療をする開始前、③終了時とし、それぞれ看護記録に実施記載を行っている。確認内容と方法は、開始前は、患者名、検査(もしくは治療)内容、使用薬剤名、抗血栓薬・抗凝固薬使用の有無、アレルギーの有無を医師が内視鏡モニター、問診票、看護師は患者カルテ、問診票、注射処方箋を手元に患者の前で確認をしている。さらに、処置(もしくは治療)前は医師が抗血栓薬や抗凝固薬の使用の有無の確認を宣言し、看護師が問診票を医師へ見せながら使用の有無、休薬情報を伝え、医師より最終的に処置が可能であるのか宣言する方法をとっている。検査後は実施した検査(もしくは治療)内容と検体採取の有無、検体個数の確認を行っている。医中誌にて、タイムアウト、内視鏡をキーワードに検索した範囲では緊急内視鏡、カプセル内視鏡、気管支鏡も含めた全内視鏡検査にタイムアウト制を導入した報告はなく、他施設に先駆けて行っている取り組みと考える。タイムアウト制導入後1年未満であり、その効果の検証はできていないが、発表当日には、現況と効果の検証、今後の課題について報告する。
3.内視鏡検査・治療における退出先・退出目標による退出基準の違い
医療法人山下病院 検査センター看護部1)、消化器内科2)
○平井 英津子1)、松崎 一平2)、桒原 ともみ1)、服部 昌志2)
当院では、上部内視鏡9400件・下部2600件/年を実施し、その内10%の患者に苦痛緩和の手段として鎮静剤を用いている。鎮静後の退出は、検診・外来で帰宅する患者は鎮静から回復し自力もしくは他者と帰宅できること、入院患者ではクリティカルパスに沿い病棟スタッフによる継続した観察で対応できることを目標としている。
退出基準は、検診・外来患者では内視鏡看護記録実践ガイド(2013年度版)による麻酔回復スコア、入院患者ではAldreteスコアを使用している。看護師は退出基準に従いスコアによる退出評価を行うが、患者の退出先や検査・治療後の動向を理解した上で評価をする必要がある。スコアを満たすことは必須条件で、時に患者背景を考慮した帰宅・搬送方法を追加して判断する必要がある。さらに、鎮静剤使用による副作用も起こりうるため、バリアンス発生時に看護師が早期に発見し対応するまでが内視鏡看護師に求められていると考える。
このため、患者を退出まで継続的に観察する看護師が専任で存在すること、判断レベルが一定であることは重要であり、看護師の観察能力を育てるシステム構築が必要である。使用した薬剤の特性・副作用と検査・治療が及ぼす身体への影響を理解し、患者背景を加味した看護診断が出来る教育を行い、また、異常発見後の対応方法や報告手順など施設に合わせた詳細なルールを作成することも重要である。
当院では、退出先・搬送方法による違いによりスコアを2種類使用し、バリアンス発生時での報告・対応手順を使い分けている。今回、当院の退出基準を報告する。
4.外来患者の上部内視鏡検査における鎮静管理への取り組み
筑波大学附属病院 看護部1)、光学医療診療部2)
○井坂 裕子1)、泉 智子1)、石井 智美1)、岩谷 育子1)、奈良坂 俊明2)、溝上 裕士2)
<はじめに>
鎮静はハイリスクで重要な医療行為である。今日の内視鏡検査・治療は高度医療の先端を担っており、安全で安楽な医療を提供するためには、統一された管理が重要である。当院の傾向として、外来患者は公共の交通機関よりも自家用車での来院が多い。そのため外来患者に行われる鎮静下内視鏡検査は、検査中のみならず検査後の鎮静管理と帰宅前の退出確認が重要となる。今回は、安全な鎮静下内視鏡検査の実施、安全に患者が帰宅できるための取り組みについて報告する。
<実践内容>
鎮静薬を用いる全ての医療行為において、院内統一の「鎮静マニュアル」に準じた準備、実施、実施後の管理を行っている。具体的には同意書の取得、問診、鎮静の実施、検査中の観察、退出の確認を実施している。また医師に対しては「鎮静管理指導医」「鎮静技術認定医」制度を導入し、コメディカルに対しては「鎮静観察者認定」講習を実施した。
<結果>
2017年1月から12月の期間に、鎮静薬を用いた上部内視鏡検査を実施した患者83名の鎮静薬の使用に関連した合併症や転倒転落等のインシデントの発生状況、帰宅方法を調べた。1割の患者は、家族による付き添いおよび送迎はなく公共の交通機関を利用していたが、期間中に鎮静に関連した転倒転落、ライン自己抜去などの報告はなかった。
<考察>
内視鏡検査の高度化、患者の多様化および複雑化に伴い、静鎮薬を用いた医療行為が多くなっている。安全で安楽な鎮静薬を用いた内視鏡検査・治療を目指し、鎮静管理に取り組んでいきたい。
事務局:
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部
吉田 俊太郎、二宮 多恵子
TEL:03-3815-5411(内線34140) FAX:03-5800-9015
E-mail:yoshidash-int@h.u-tokyo.ac.jp