第103回 日本消化器内視鏡学会関東支部例会のご案内
第103回日本消化器内視鏡学会 関東支部例会の開催にあたって
会長 島田 英雄(東海大学医学部消化器外科学 教授)
~ 内視鏡診断・治療の基本からその応用に向けて ~
この度、第103回日本消化器内視鏡学会関東支部例会を2016年12月17日(土)、18日(日)の2日間にわたり砂防会館別館シェーンバッハ・サボーにて開催させていただきます。伝統ある本学術集会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。
近年、新しい内視鏡機器や治療手技の開発により消化器疾患の診断・治療はめざましい発展を遂げました。一方、対象となる疾患領域の専門性や診断・治療の煩雑化から、それら技術の習得が難しくなっている現状も否めなません。基本を疎かにして、その診断精度の向上は望めませんし、また、各種の内視鏡治療においても同様に基本手技の習得なくして、安全性と確実性を担保した治療手技の向上は困難です。これら課題を少しでも克服すべく本集会のメインテーマを決めさせていただきました。
主題として、内視鏡診断では「咽頭・食道領域における多発癌・重複癌の診断と治療の現況」「内視鏡スクリーニング検査の標準化と画像強調法の位置付け」を、内視鏡治療については、消化管領域では「こうすれば上達する消化管EMR/ESD 指導と研修の立場から」「消化管出血に対する内視鏡手技の工夫」「悪性消化管狭窄に対するステント治療のコツとトラブルシューティング」を、肝胆膵領域では「膵胆道結石症に対する内視鏡治療のトラブルシューティング」「膵胆道疾患に対する内視鏡的ドレナージの最前線」を取り上げ、臨床の場で困った状況に遭遇した際どのように対応すべきか、すぐに役立つ内容を中心にプログラム構成いたしました。さらに消化器外科と消化器内科による低侵襲治療として「コラボレーションによる低侵襲治療の新展開」では、多くの消化器外科医、内科医の先生方に討論いただきたいと思います。
特別講演は、京都大学教授福原俊一先生に「健康長寿を支えるのは臨床医である」をテーマに臨床医を勇気づける研究手法のご講演をお願いいたしました。
その他、エキスパートの先生方によるハンズオントレーニングセッション、アンサーパッドによる症例検討セッション、研修医・専修医セッション等を準備しています。消化器内視鏡に携わり、ご参加いただいた多くの先生方に本当に良かったと評価いただける学会を目指してスタッフ一同で準備しております。
会員の皆様には多数の演題のご応募とご参加いただけることを心よりお願い申しあげます。
会長:
島田 英雄(東海大学医学部消化器外科学)
会期:
2016年(平成28年)12月17日(土)~18日(日)
会場:
シェーンバッハ・サボー
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5
関東支部例会HP:
http://www.jges-k.umin.jp/103shibureikai/index.html
演題募集:
2016年6月21日(火)~ 8月17日(水) 9月7日(水)正午まで
※締切りを再度延長しました。
募集内容:
- シンポジウム(公募)
「咽頭・食道領域における多発癌・重複癌の診断と治療の現況」
- ビデオシンポジウム(公募)
「こうすれば上達する消化管EMR/ESD 指導と研修の立場から」
- パネルディスカッション(公募)
「内視鏡スクリーニング検査の標準化と画像強調観察の位置づけ」
「消化管出血に対する内視鏡手技の工夫-抗血栓療法のマネージメントも含めて-」
- ビデオワークショップ(公募)
「悪性消化管狭窄に対するステント治療のコツとトラブルシューティング」
- ワークショップ(公募)
「膵胆道結石症に対する内視鏡治療のトラブルシューティング」
「膵胆道疾患に対する内視鏡的ドレナージの最前線」
「外科と内科のコラボレーションによる低侵襲治療の新展開
- 一般演題(公募)
- 専修医セッション(公募)
- 研修医セッション(公募)
プログラム概要:
- ワークショップ
「膵胆道結石症に対する内視鏡治療のトラブルシューティング」
司会 東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 五十嵐良典
東京大学医学部 消化器内科 伊佐山浩通
膵・胆道結石に対する内視鏡的治療は、基本的な手技ではあるが、バリエーションも大きく治療困難例も珍しくない。胆管結石治療では、乳頭アプローチに関しては術後腸管や乳頭の位置異常、憩室内開口などの解剖学的な問題、乳頭処置(EST、EPBD、EPLBDなど)、結石に関しては巨大結石、嵌頓結石、胆嚢管との合流部結石、肝内結石などの種々の困難結石が存在する。膵管結石では、膵管走行や太さなどの解剖学的な問題や、嵌頓結石、巨大結石などの困難結石が存在する。乳頭処置における出血、穿孔、治療中のバスケット嵌頓や把持困難例、破砕困難例など、窮地に陥る時もしばしばである。これらの種々の困難例に対して、状況を打開し、安全に治療を完遂せねばならない。
本セッションでは、困難を乗り越えた経験を発表していただき、その知識を共有していきたい。有用であったデバイスの紹介も歓迎する。まとまった報告は難しく、症例報告が多くなると思うが、トラブルシューティングの引き出しを一つでも増やすことが重要と考えている。発表にはVideoが望ましいが、不可能な症例では詳細な図解で聴衆が理解できるような呈示の工夫をお願いしたい。会員諸氏の貴重な経験を報告していただき、実りあるセッションにしたい。
「膵胆道疾患に対する内視鏡的ドレナージの最前線」
司会 昭和大学藤が丘病院 消化器内科 長濵 正亞
北里大学病院 内視鏡センター 木田 光広
膵胆道の閉塞性疾患に対して内視鏡的ドレナージは経乳頭が主流であった。EUS-FNAの登場でその技術を応用したinterventional EUSによって経乳頭以外の新たな経消化管的ドレナージルートの選択が行えるようになり、2012 年には保険収載され臨床応用が身近になった。また膵仮性嚢胞・膿瘍のEUS下ドレナージ、EUS-BD(CDS, HGS)、EUS-PDなども報告されている。しかしinterventional EUSは高い偶発症率を有しており、その手技の標準化(standardization)の確立と最適なデバイスの選択が模索されている。最近ではデリバリーシステムが細径化されたSEMS により、悪性肝門部閉塞に対するside by sideや、術後胃の悪性胆道狭窄に対するSEMS での胆管ドレナージも容易に行えるようになってきた。さらに良性胆道狭窄に対して抜去可能であるfully-covered SEMSの有用性も多く報告されている。
本ワークショップでは各施設での最新のドレナージ事情をご報告いただき、特に良悪性胆道狭窄・膵管狭窄、膵仮性嚢胞・膿瘍ドレナージなどについて最新の内視鏡手技と成績を提示していただき、その有用性と問題点を共有し今後の診療に役立てたい。
「外科と内科のコラボレーションによる低侵襲治療の新展開」
司会 慶應義塾大学病院 腫瘍センター 矢作 直久
がん研有明病院 消化器外科 比企 直樹
消化管内視鏡は管腔内からのアプローチであるため、より正確な病変の範囲診断と切除が可能であるが、穿孔のリスクが高すぎる処置は不可能であった。一方で腹腔鏡手術は穿孔のリスクを気にすることなく病変の完全切除が可能であるが、管腔外からのアプローチであるため時として切除範囲が必要以上に大きくなることがあり、著しい消化管の変形を伴う事があった。そこで胃SMTの治療を対象にそれぞれの長所を生かして病変のみを正確に切除すべく、腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopy endoscopy cooperative surgery;LECS)が開発された。LECSはその大きなメリットのためいち早く保険収載され広く行われるようになったが、現在では胃SMTのみならず早期胃癌や他臓器の治療にもその応用が試みられている。また手技的にも非穿孔式の全層切除や、ESD後の腹腔鏡下縫縮など様々なLECS関連手技が報告されている。本セッションではこれらLECS 関連手技の治療成績や手技のコツ、さらにはトラブルシューティングなどについて発表して頂き、外科と内科のコラボレーションによる低侵襲治療の更なる可能性を明らかにしたい。
- 症例検討セッション ※アンサーパッド形式
「食道・胃」
司会 埼玉県立がんセンター 消化器内科 有馬美和子
がん研有明病院 内視鏡部 藤崎 順子
このセッションでは食道癌・胃癌の症例を通じて、範囲診断、深達度診断を行い、主として内視鏡治療の適応について相対適応病変、絶対・適応拡大病変を診断していく。また治療後の病理組織診断から次の治療方針を立てるところまで考えるセッションを組み立てたいと考えている。食道・胃の症例を提示し読影者に通常内視鏡像、拡大内視鏡像、EUSから術前診断を行っていただく。アンサーパッド形式を取り入れ、若手、初学者からベテラン、専門家まで今後の診療に役立つ症例を選択し、提示したい。典型例、応用例と可能であれば2例ずつを行いたいと考えている。典型例の検討から内視鏡像と病理像の基本的な対比を行い、さらに応用編として画像の読影、検討を行い、切除標本との対比を行う予定である。
- 「十二指腸・小腸」
司会 自治医科大学 消化器内科学 山本 博徳
がん研有明病院 消化器内科 斎藤 彰一
本セッションでは日頃の日常診療で遭遇する腫瘍性病変および炎症性病変を取り上げ、その特徴的な内視鏡診断から治療方針の立て方まで検討を行う予定である。このセッションの対象は研修医・レジデントの先生方であり、典型例を呈示予定である。コメンテーターには、消化器系疾患で第一線に活躍する先生方に依頼する。また併せて会場の先生方にもアンサーパッド形式で内視鏡所見から最終診断、治療方針までを質問に対する解答をお願いする予定で積極的に症例検討に参加して頂きたい。
また症例検討の後、消化管診断のExpert によるミニレクチャーを予定している。ミニレクチャーは自治医科大学消化器内科・矢野智則先生にお願いしている。充実した90分となるよう、特に研修医・レジデントの若く、将来の消化器領域を担う先生方を中心に盛り上げて頂きたい。
活発な討論を期待する。
- 「下部消化管」
司会 横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター 国崎 玲子
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 中島 健
恒例となった本症例セッションでは、大腸腫瘍、炎症症例を提示する。内視鏡検査・診断そして治療方針へ至る過程をアンサーパッドを用いて、参加者の先生方と一緒に議論する予定である。腫瘍の診断に関しては、各種モダリティとその診断基準が確立されてきたが、日常臨床では判断に迷う症例も多い。一方、炎症性腸疾患は、内視鏡所見だけで診断や治療を決定することができず、実際の症例に遭遇した場合に、どのように診断を考え検査を組み立てるか、内視鏡の読影ポイントと適切な生検の方法、治療方針など、明日からの臨床に役立つ議論にしたい。
対象は、研修医・レジデントが中心であるが、中堅の先生方にも役立つよう知識の整理のためのミニレクチャーや病理解説も交えた充実したセッションにしたい。本セッションにて実際の症例を検討し、その診断過程を共有し、参加者と議論できることは大変有用であり、多くの先生方の積極的な参加を期待する。
- 「胆・膵」
司会 東海大学 消化器内科 川口 義明
東京医科大学 消化器内科 糸井 隆夫
胆膵疾患は、病歴、血液検査データ、各種画像検査(US, CT, MRI, EUS, ERCP)から診断を絞り込み、EUS-FNA やERCP 下の細胞・組織診で確定診断を行うのが一般的な流れであるが、その診断に難渋することも尐なくない。また治療方針を決定する上では、良悪性鑑別診断や悪性の場合の進展度診断が重要である。本セッションでは、診断に苦慮した症例をたたき台にして、その診断から治療に至るプロセスを画像読影コメンテーターの先生や会場の先生の意見を聞きながら考えてみたい。多くの先生のご参加を期待する。
- 食道 Advanced レクチァー
講演1. 「Endocytoscopy system による食道病変の診断」
埼玉医科大学 総合医療センター 消化管・一般外科 熊谷 洋一
講演2. 「EUSによる頸胸腹3領域リンパ節転移診断」
埼玉県立がんセンター 消化管内科 有馬美和子
講演3. 「難治性GERDに対する新しい内視鏡治療 ARMS」
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 井上 晴洋
事務局:
運営事務局:
- 株式会社コンベックス
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-12-1虎の門ワイコービル
担当:上杉奈穂
TEL:03-5425-1601 FAX:03-5425-1605
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