2020年1月6日
理事長
井上 晴洋
2020 年の年頭にあたり,謹んで新年のご挨拶を申しあげます.まずは旧年中の会員の皆様の,日本消化器内視鏡学会(JGES)へのご協力とご尽力に心より感謝申しあげます.
そもそもJGES は,国民の健康のため,良質な内視鏡医療を提供することを目的として,先達から長年受け継がれ,また脈々と努力を継続し,発展してきた学会でございます.学術で国際競争に打ち勝つ努力とともに,実地医家の先生方と協力して地域の住民の皆様の医療福祉に,内視鏡の観点から大きく貢献したいと考えております.
本年は1964 年の東京オリンピック以来,56 年ぶりのオリンピックが開催されます.その記念すべき年に,春の第99 回日本消化器内視鏡学会総会は,樋口和秀先生(大阪医科大学)が京都で開催されます.プログラムも充実しており,楽しみであります.
さて日本消化器内視鏡学会総会も,本年秋にはめでたく第100 回を迎えることとなります.秋のJDDW の折に河合隆先生(東京医科大学)が,まさしくその節目となります第100 回日本消化器内視鏡学会総会の会長を務められます.これを記念しまして「日本消化器内視鏡学会総会第100回総会記念式典」を挙行すべく,鋭意,準備を進めております.式典は,田中信治先生(広島大学)が務められます第101 回日本消化器内視鏡学会総会の折に開催の予定です.
さて専門医制度ですが,前理事長で現特別顧問の田尻久雄先生のときから,サブスペシャルティの獲得を目指しまして,さまざまな取り組みを継続しております.現在も,日本専門医機構および医道審議会医師分科会医師専門研修部会におきまして,継続した議論が積み重ねられており,「専攻医が不利益を被ることがないような制度設計をすること」が明記されております.JGES におきましては,それに呼応しまして専攻医研修手帳のデジタル化などを早急に進めております.若い先生方の付託に応えられますように,本年も継続して努力してゆきたいと思います.関連しまして,地域における専門医の必要性の観点から,指導医および指導連携施設につきましては,「指導医の資格をこれまで同様に個人に付与すること,また指導連携施設の認定においては,指導医(非常勤を含む) 1 名と常勤専門医1 名でも認めること」と認定条件を見直すことといたしました.このことにより,地域において内視鏡専門医が地域住民の期待に応えまして,これまで以上に活躍できるような環境が整うものと考えております.また小児科領域でも,良質の内視鏡医療を国民の皆様に広く提供したいという観点から,専門医申請の際の研修条件を現状に合致するように適切に見直しました.このような中,2019 年度は770 名(合格率74.9%)の新専門医が誕生しました.また重点卒後教育セミナーのe-learningも開始され,引き続き充実させたいと考えております.
一方,総会プログラムにおけるコア・セッションは,大きな共通の主題テーマを掲げまして,4 回の総会において主題関連テーマを系統的に議論するものであります.学会のセッションの継続性という観点からきわめて重要であり,良く定着し実施されております.またJGES の総会に参加された外国人に配慮しまして英語セッションをわかりやすくする観点から,英語セッションをJGES International としてプログラム上で統合いたしました.
JGES の学術の要となりますガイドラインにつきましても,複数のガイドライン作成が着実に進んでおります.また一定年以上経過しましたガイドラインの改訂作業も着実に進んでおります.和文誌も若い先生方の登竜門として,また実地医家の先生方の学術情報源となりますように粛々と継続しております.英文誌Digestive Endoscopy(DEN)につきましては,Impact Factorも3.640(2018 年)まで高まって参りました.皆様の御支援により継続して上昇してきており,さらなる発展を目指して頑張っていきたいと考えております.投稿される先生方には,DEN からの論文引用を引き続きお願い申しあげます.
さてJGES の国際活動でありますが,ASGE,ESGE とのJoint Symposium は,米国DDW,欧州UEGW のメインプログラムとして既に定着し,着実に発展しつつあります.また,ASGE との共催で行っております米国シカゴでのトレーニングコースは,今年から発展的にPOEM course とESD course として分離独立して,拡充することとなりました.また,昨年には,海外の著名な先生方にFJGES(Fellow of JGES)の称号を付与しましたが,大変,好評を得ました.さらに拡充してゆきたいと考えております.
JED(Japan Endoscopy Database)は,全症例登録という世界的にみても画期的なプロジェクトであります.しっかりとしたDatabase を確保することにより,内視鏡医療の現状の正確な把握,学術の基礎データとして,内視鏡医学の発展に大きく寄与するものと考えて,着実に発展を継続しております.また専門医の登録とも密接に関連いたします.
内視鏡領域におけるAI の活用は,現在,日本が世界の先頭を走りつつあります.JGES の中にも,AI 推進検討委員会を設けまして,今後の急速な発展に合わせた支援を継続してゆきたいと考えております.
JGES におきましては,その国際化,グローバル化が急務であります.また一方で,実地医家の皆様の地域での内視鏡医療の普及はもっとも重要なテーマであります.この2 つの充実・発展を両輪としまして,全会員の皆様のご協力とご支援を賜り,JGES を一歩でも前に進めて参る所存であります.本年も何卒よろしくお願い申しあげます.
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