日本消化器内視鏡学会
大腸ESDについては、その有用性から全国的に普及しつつある内視鏡技術であり、使用する機器はそれぞれ単独で保険制度で承認されていますが、その技術については保険制度未承認でした。そこで今回、平成22年度の診療報酬改訂において、日本消化器内視鏡学会(本学会)から内保連を通じて保険収載を申請したところ、本技術の有用性と安全性に関するエビデンス不足であること、一方、先進医療技術として申請済みということの2点から一次審査において却下されました。
これを受けて,本学会としては薬事・社会保険委員会、ならびに理事会において協議した結果、以下に示す声明を発表し、関係各位へ適切なる対応をお願いすることにいたしました。
- 現在,未承認技術であり、既に先進医療と位置づけられている大腸ESDを、先進医療として申請をせずに実施することは、本学会として容認できない。
- 今後の方策として,大腸ESDを施行している施設のうち、先進医療の申請可能な施設(施行医師および施設基準は別添資料1を参照)は先進医療の申請を行い、前向きに本技術の有用性と安全性を検証すると共に、必要があれば、先進医療の申請については本学会として申請施設に対するサポートを行う。連絡先は、学会事務局(info@jges.or.jp)担当:薬事・社会保険係。
- 先進医療における前向きの検証により、本技術の有用性と安全性を検証しうるデータを得るため、本学会への症例登録を行う(詳細については後日連絡)。
- 登録されたデータを基に、厚生労働省への早期の承認ないしは24年度の承認を目指す。
『別添資料1』
先進医療技術91)(厚労省ホームページより抜粋)
大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術
(早期大腸がん(EMR(内視鏡的粘膜切除術をいう。以下同じ。)では一括切除が困難な2cm以上の病変であって、拡大内視鏡診断又は超音波内視鏡診断による十分な術前評価の結果、根治性が期待できるものに限る。)又は腺腫(EMRを実施した際の病変の挙上が不良なもの又はEMRを実施した後に遺残又は再発したものであってEMRでは切除が困難な1cm以上の病変のものに限る。)に係るものに限る。)
- イ 主として実施する医師に係る基準
- 専ら消化器内科、消化器外科、内視鏡内科又は内視鏡外科に従事し、当該診療科について5年以上の経験を有すること。
- 消化器内視鏡専門医(一般社団法人日本消化器内視鏡学会が認定したものをいう。)であること。
- 当該療養について1年以上の経験を有すること。
- 当該療養について、当該療養を主として実施する医師又は補助を行う医師として20例以上の症例を実施しており、そのうち当該療養を主として実施する医師として10例以上の症例を実施していること。
- ロ 保険医療機関に係る基準
- 消化器内科、消化器外科、内視鏡内科又は内視鏡外科を標榜していること。
- 実施診療科において、常勤の医師が2名以上配置されていること。
- 外科において、医師が2名以上配置されていること。
- 病床を有していること。
- 当直体制が整備されていること。
- 緊急の場合における開腹手術を実施する体制が整備されていること。
- 24時間院内検査を実施する体制が整備されていること。
- 医療機器保守管理体制が整備されていること。
- 倫理委員会が設置されており、届出後当該療養を初めて実施するときは、必ず事前に開催すること。
- 医療安全管理委員会が設置されていること。
- 当該療養について、20例以上の症例を実施していること。
- 24時間画像診断を実施する体制が整備されていること。
- 届出月から起算して6月が経過するまでの間は、1月に1回、地方厚生局長等に対し当該療養の実施状況について報告すること。