OMED(世界消化器内視鏡学会)は近年のコンピューター化に伴い、データの電子記録に必要な用語のデータベース、Minimal Standard Terminology (MST)を1995年に作成し、種々改良の結果、さらなる実用化を目指して1999年に改定版(Ver.2)を発表した。 このMST2.0の発表を期して、日本消化器内視鏡学会も、 急速な内視鏡データの電子ファイリング化などに対応するためMST2.0の日本語訳を行い、2001年6月に学会のホームページに掲載した。 OMEDはMST英語版をもとに各地区で頻繁に使用されている用語の追加または不必要用語の削除を行なってローカル版の作成を勧めて来た。これによって本学会も委員会の討議を経て幾つかの用語をMST 2.0に追加した。2008年にOMEDはさらに内視鏡医療の進歩に伴い改定版MST3.0を作成した。その大きな改定は序文にも書かれているようにEUSと小腸内視鏡の用語を大幅に導入、ERCPがより詳細に記載出来るように、また治療や偶発症等の用語も取り入れたことである。しかし、大きな特徴は分類を今までの分類とはとは異なって管腔臓器、ERCP、EUSに大別されており、より使い易くなったのではと思われる。今回の改訂版MST3.0 日本語訳についてはMST2.0 日本語訳を基本的には踏襲し、新しい用語について、訳文と言うよりも我々が日常使用している用語を記載するようにした。追加用語(日本語のみで英語記載のない用語)はMST2.0 で追加した日本のローカル用語が数多くMST3.0には追加収載されたため、今回はむしろ数は減っている。
このMSTは内視鏡所見や診断の記載には、個人の主観では無く客観的かつ普遍的な記録が出来ることを目指しており、他人数の内視鏡医が関わる記録にはその威力を発揮するもので、特に内視鏡検診時のチェックや集計等には必須ともなっている。日本消化器内視鏡学会会員は是非このMSTを有効に活用して頂きたい。
最後にこのMST3.0 の著作権は完全にOMEDの基に移行し、OMEDの組織下にある日本消化器内視鏡学会会員は営利目的でない限り自由にこのMST3.0を各自のデータベース等にも使用して頂きたい。また、著作権の詳細は原本の表紙に記載されている。
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