小腸カプセル内視鏡を内服した場合、通常は3-4日以内に排泄されますが、中にはそれ以上経過してやっと排泄される場合があります。また、便の中にカプセル内視鏡が埋まっている場合、排泄を確認できずトイレで流してしまうことも度々あります。もし、2週間以上経っても排泄が確認できない場合は、病院を受診して腹部X線検査等で実際にカプセル内視鏡が体内に残っているか確認してもらいましょう。もし、2週間以上経過しても体内に残っている場合を専門用語で「滞留(たいりゅう)」と言います。その場合でもカプセル内視鏡が腸閉塞や、内部の金属が溶出するなどの合併症を引き起こすことはまずありませんので、慌てる必要はありません。まずはカプセル内視鏡の画像やCTなどで滞留している原因を探ります。炎症性腸疾患であるクローン病等による良性狭窄の場合ではステロイドなどの薬物療法で排泄を待ちます。もし、排泄されない場合はバルーン小腸内視鏡という小腸の深部まで挿入可能な内視鏡で回収を試みます。それでも回収出来ない場合は、狭窄の外科治療を含めた外科的回収を検討します。また、癌(がん)などの悪性狭窄で滞留した場合で外科切除の適応があれば、手術で回収します。
現在は小腸カプセル内視鏡が通過できるか予測するパテンシーカプセル(小腸カプセル内視鏡と同サイズで、内視鏡機能のない開通性評価目的の崩壊型ダミーカプセル)が保険適用されています。クローン病や、狭窄症状(食後の腹痛、腹部膨満感)のある場合、腹部放射線照射の治療歴のある場合、今までの検査で小腸の狭窄が疑われる場合等では小腸カプセル内視鏡検査を行う前にパテンシーカプセルを内服し、33時間以内に原形のまま排泄されるか、CTなどで大腸に排出されたことを確認できれば、安心して小腸カプセル内視鏡を施行することができます。パテンシーカプセルは乳糖で出来ていますので狭窄があっても腸液で溶解しますので、心配する必要はまずありません。