「ポリープ」というのは正確には病名ではなく『皮膚・粘膜などの面から突出し、茎をもつ卵球状の腫瘤(広辞苑第6版より)』の総称です。
つまり図1(特に②~④)のような丸くて出っ張っている球状のものを一概に「ポリープ」と呼んでいます。またその中でも粘膜表面に変化のない「粘膜下腫瘍(「Q.粘膜下腫瘍とは何ですか?」でも説明致しました粘膜の下に何かあるもの)」を除く粘膜表面が変化し出っ張ったものを「ポリープ」と呼ぶことが多いです。ここではそのような「ポリープ」の中でも大腸の「ポリープ」について説明したいと思います。
大腸にできるポリープは胃でできるポリープ(「Q.胃ポリープについて~」 をご参照ください)とは逆にほとんどが腫瘍性のもので、図2のように小さいもののほとんどは「腺腫」と呼ばれる腫瘍です。
大腸の「腺腫」は段々『悪性』の腫瘍、いわゆる「がん」になるという説(adenoma-carcinoma sequenceと言います)があり、大きくなるにつれ「腺腫」の成分が無くなっていき、全体が「がん」に置き換わると言われています。つまり図3のように大きなものはがんの成分が含まれることが多くなります。また稀に小さくても「がん」の成分を含むもの、最初から「がん」として発生するもの(de novo癌と言います)もあります。
いずれにせよ大腸のポリープのほとんどが治療の対象で、「腺腫」は内視鏡で切除可能です。「がん」でもごく初期内視鏡で切除可能ですが、なかには、リンパ節に転移するものがあり、その場合には外科的に切除が必要になります。また上に述べたように「腺腫」から「がん」になっていきますので「腺腫」だと思って内視鏡で切除した病変をくわしく調べた結果、外科的に追加切除が必要になることもあります。
また図4のように大腸に100個以上の「腺腫」ができる病気があります。病名を家族性大腸腺腫症といい、名前の通り大部分が家族の中でも同じ病気の方がいる遺伝性の病気です。この病気の方は15歳で約60%、35歳でほぼ100%の確率で大腸にたくさんの「腺腫」(ポリポーシスと言います)ができ、「がん」ができる確率は40歳で約50%、60歳でほぼ100%と言われています。ご家族に該当される方がいらっしゃる場合には是非医師にご相談下さい。