一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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画像強調内視鏡って何ですか?

 食道がん、胃がん、大腸がんのうち、早期がんは良好な治療成績が示されておりますが、これらのがんの多くは胃カメラや大腸カメラ(内視鏡検査)で発見されています。内視鏡検査においては主に白色光観察が用いられています。白色光観察とは、内視鏡の先端から青、緑、赤の3原色で合成される照明光で消化管の表面を観察する方法です。この観察方法では、消化管の粘膜や病変は私たちの肉眼と同様の自然の色で描出されます。早期の消化管がんの多くは白色光観察で発見可能ですが、その色や形の変化が軽微な病変においては、白色光観察のみでは病変の存在、ならびに良性か悪性かを正確に診断しづらいことがあります。

 

 画像強調内視鏡とは、白色光から光の波長を変換し、消化管の粘膜表面の模様や血管の輪郭、色調を強調する観察方法です。これまでに、NBI (Narrow Band Imaging)、FICE (flexible spectral imaging color enhance­ment)、BLI (Blue LASER Imaging)、LCI (Linked Color Imaging)、i-scanなど、フィルター処理やコンピューターでの信号処理を用いて、白色光を青と緑の光(血管の色調や輪郭のコントラストを強調する狭帯域光)に変換する内視鏡システムなどが開発、市販化され、日常診療で用いられています。

 

 これまでに、画像強調内視鏡観察では、白色光観察と比較して早期がんやポリープが発見しやすくなったことが報告されています(図1,2)。

図1:早期食道がんの白色光観察

図2:図1の病変の画像強調観察

 

 また、画像強調内視鏡に加えてデジタルカメラと同様のズーム機能を用いて粘膜模様や血管を拡大観察することにより、病変の良性・悪性の診断、早期がんの範囲診断、病変の深さの診断が行えるようになってきました(図3)。

図3:早期胃がんの画像強調観察

図4:図3の病変の拡大内視鏡像

 

 なお、画像強調観察の有効性や病変の診断精度については、その症状や疾患によって異なりますので、詳細は担当医師にお問い合わせください。

 

国立がん研究センター中央病院
阿部 清一郎
(2019年7月30日掲載、2022年12月16日更新)