内視鏡の際に用いる道具の消毒のレベルに関しては、以下の分類が用いられます。
Spauldingの分類
Critical (クリティカル)
滅菌が必要
通常粘膜を超えるもの(生検鉗子等)
Semi critical (セミクリティカル)
高水準消毒
粘膜に直接接触するもの(スコープ等)
Non critical (ノンクリティカル)
洗浄・低水準消毒
粘膜に直接触れないか、皮膚にのみ接触するもの(周辺機器等)
Spaulding EH. Chemical disinfect of medical and surgical materials. In: Lawrence CA. Block eds. Disinfection, sterilization and prevention. Philadelphia: Lea & Febiger: 517-31, 1968. そのうち、カメラ(スコープ)の再利用には、「高水準消毒」と呼ばれる消毒が必要となっています。規定通りの洗浄消毒をおこなっている場合には、患者さん間で感染が起きる可能性はありません。
まず、検査終了後、カメラ(スコープ)は、洗浄消毒をおこなう部屋の流しに運ばれます。
次に、水を流しながら、表面の汚れを酵素洗浄剤とスポンジを用いて、丁寧に洗っていきます。
次に、鉗子口(生検などを行う場合に処置具を挿入する口)や吸引口の中を、専用のブラシを使って洗うことにより、粘液などの付着を取り除きます。
次に、スコープを、専用に設計された洗浄消毒機の中にスコープをセットして、先ほどブラシで洗浄した部分に、特殊なチューブをくっつけます。
この機械の中には、特殊な洗浄剤と消毒剤が循環するようになっており、スコープの中と外に洗浄剤と消毒剤を高圧で流すことで、スコープの洗浄消毒を行います。その後、スコープの中と外を、多量の水ですすぎます。そののちに、空気を送ることによって内視鏡の内部から水を追い出します。 また、スコープの内部を乾燥させるために、専用消毒機の中で、鉗子口などにアルコールを注入して、水分を除去します。
通常の洗浄消毒過程は、水圧等により前後しますが、通常20分程度で終了します。 生検鉗子(組織を一部採取する道具)などの処置具を再利用するときには、外側を丁寧に洗った後に、超音波洗浄と滅菌が必要となります。最近は、使い捨て(ディスポーザブル)の生検鉗子を用いている施設もあります。
なお、日本消化器内視鏡学会認定の指導施設では、各施設の現状に即した洗浄消毒のマニュアルの作成が必須となっております。その詳細につきましては、各施設にお問い合わせください。
静岡医療センター 消化器内科
松田 浩二
(2012年2月6日掲載、2024年3月12日更新)