一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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内視鏡検査はだれがやっているの? 技師? 看護師? 医師?

(1)内視鏡検査はだれがやっているの?

内視鏡スコープには長さや太さの違いによって様々な種類がありますが、大きく分けて口または鼻から入れる内視鏡検査と、お尻(肛門)から入れる内視鏡検査の2種類に分かれます。これら内視鏡スコープを実際患者さんの体内に挿入し、操作して診断および治療を行っているのは医師です。

それでは看護師や技師は何をやっているのでしょうか?

(2)内視鏡検査と業務について

患者さんが内視鏡室に到着し、検査室に入って医師が検査・治療を行い、退室し帰宅(入院の場合は帰室)するまで、様々な職種のスタッフが下記のような業務を行っています。

  1. 患者確認、検査室・前処置室への入出管理、文書管理・・受付スタッフ
  2. 感染対策(スコープ洗浄・消毒、消毒薬の濃度管理、履歴管理)、処置具・備品の保守・在庫管理、介助、鎮静患者の観察、記録など・・消化器内視鏡技師・看護師
  3. 検査後、鎮静患者のリカバリー室での安静解除・・看護師
  4. 医療機器の点検、保守、操作・・臨床工学技士
  5. 内視鏡室で用いられる薬剤の調整、特に鎮静薬などの使用履歴、定数管理、有効期限の管理・・薬剤師
  6. 採取された検体の処理・・臨床検査技師

1から6まで挙げた項目を各専門のスタッフが行うことができれば理想的ですが、多くの施設では看護師が複数兼務しています。近年、内視鏡技術の進歩により診断だけではなく、高度な技術を要する内視鏡治療が行えるようになっています。リスクや難易度の高い手技が普及すると同時に、多岐にわたる細やかな安全管理が求められています。医療現場では多職種間で情報を共有しそれぞれの専門的立場から対策を提案するチーム医療の重要性が指摘されており、その中で消化器内視鏡検査技師の果たす役割が注目されています。

(3)消化器内視鏡技師とは

日本消化器内視鏡学会が認定する資格を有した技師のことです。日本消化器内視鏡技師会は消化器内視鏡業務に関わる前処置、洗浄・消毒、機器管理、検査・治療の介助などの研究会や教育研修を行っております。また、医療機器取り扱い講習会などを通じて、消化器内視鏡医療の全般にわたって積極的に活動しています。日本消化器内視鏡技師になるには看護師や臨床工学技士、臨床検査技師などの医療関連資格所有者が実務経験を経て認定試験に合格する必要があります。熟練した内視鏡技師がいる施設では医療安全への関心も高く、内視鏡診療のレベルが高いところが多いと言われており、リスクや難易度の高い手技を行う施設では内視鏡技師の果たす役割は今後さらに大きくなると思われます。

実際の内視鏡検査室内のイメージです(図) 。患者さんへの内視鏡スコープ挿入と操作は医師が行い、看護師や内視鏡技師は患者さんに寄り添い検査介助を行っています。

内視鏡検査

図 一般的な内視鏡検査室のイメージ

内視鏡室内では看護師や内視鏡技師(臨床工学技士・放射線技師・臨床検査技士・看護師からなる)などが医師のサポートをしながら検査や治療を行っていきます。

 

順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科
長田 太郎
(2017年9月7日掲載、2021年4月9日更新)