一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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胃痛(胃もたれ)の原因は、内視鏡でわかりますか?

 上部消化管内視鏡は、食道や胃、腸の内腔を観察し、隆起(でっぱり)や陥凹(へこみ)など内面の変化を評価する目的で行います。

(図1)胃潰瘍

(図1)胃潰瘍

(図2)十二指腸潰瘍

(図2)十二指腸潰瘍

(図3)胃癌

(図3)胃がん

(図4)逆流性食道炎

(図4)逆流性食道炎

 胃潰瘍(図1) 、十二指腸潰瘍(図2) 、胃がん(図3) や逆流性食道炎(図4) など、見てわかる病気の診断に大変有用で、治療にも応用されています。もちろんこのような病気が胃痛や胃もたれの原因になることがありますので、症状でお困りの方には一度は内視鏡を受けることをお勧めします。しかし、症状の種類や有無と内視鏡で異常があるかどうかは必ずしも一致しないことが知られています。病気を持っていても無症状のことがあり、また逆に、胃痛や胃もたれの症状があるからといって、必ずしも内視鏡で異常が見つかるわけではありません。割合からするとむしろ、内視鏡で何の異常所見もないことの方が多いくらいです。症状が出るメカニズムとして、食道や胃の運動機能異常、内臓の知覚過敏、ストレスの関与など様々な因子が関連していることが推測されていますが、特定の原因を突き止めるのは難しいケースがほとんどです。診断のために、消化管運動機能検査など更に特殊な検査が必要になることがあり、時に運動機能改善薬や潰瘍治療薬を用いた治療を先行して行うこともあります。 それから、“みぞおち”(心窩部)には胃の他にも多くの臓器が存在しています。自分では“胃”の痛みだと思っていても、その原因が実は胆道や膵臓など他の臓器に由来する症状だったりすることも少なくありません。また稀ではありますが、心筋梗塞や大動脈瘤など循環器系の病気によって症状が出ることもあります。症状が強い、長く続く、体重が減る、発熱がある、などに当てはまる方には、内視鏡だけでなく、超音波やCTなどによる他臓器の検査を組み合わせて行った方がよい場合もありますので、担当の先生にご相談ください。

 

帝京大学医学部 内科
山本 貴嗣
(2017年9月7日掲載、2024年12月5日更新)