胃がんや食道がんは進行した状態で発見されると治すことは困難ですが、早期に発見されると完全に治すことが可能です。
早期の病変は内視鏡で見てもかたちや色の変化がわずかですから胃の中に食物が残っていたり、内腔を粘液や泡が覆っていたりするとわずかな粘膜の異常をみつけることができません。また異常をみつけたとしても、それが良性なのか悪性なのか、また、悪性であった場合に内視鏡切除が可能なのか外科手術が必要なのかなどの判断は困難です。
そのため、病変を見つけやすく診断をより正確に行うために、検査の前夜や当日の朝から絶食をしてもらいます。通常は前日の夕食後から検査終了まで絶食します。ただし喉が渇いた場合、水は検査の1時間前まで適宜摂取してもらっても結構です。胃の手術を受けた方は食べ物が胃に残りやすいため、軟らかい食事をとったり、絶食の期間を長くするなどの対応が必要なことがあります。具体的な準備方法は施設毎に若干異なりますので、検査を受けられる施設にご確認ください。
また、検査の前に胃内の粘液を除去し、泡を消す薬剤を内服してもらいます。
さらに食道や胃を詳しく観察するうえで、蠕動運動が観察の妨げとなることがあります。そのため、ブスコパンやグルカゴンといった鎮痙剤(消化管の動きを抑える薬)を検査前に注射します。心疾患や緑内障、糖尿病などがあるひとは副作用が出るおそれがありますので、問診で確認をします。最近は、ℓ-メントールという内視鏡時に胃内に直接投与する鎮痙剤もあります。投与禁忌が少なく胃内に直接投与するため、投与禁忌の問診や注射の手間がありません。
このように少しでも正確な診断を行うために、内視鏡検査時にはいろいろな工夫がおこなわれています。